カテゴリ:BOOKS( 5 )

銀河系に涙を一滴垂らした

午後のすきまに
だいすきなおともだちから突然の電話。
名古屋に来ているというので、
とてもうれしくなって
隙間をぬって
いそいそと会いに行く。

昨日だったら仕事で
ぐしゃぐしゃでぺっしゃんこに
なっていたから
逢えなかったのに

逢うべき時に
あいたいひととは逢える
世界はそんな風に
まわってるらしい。

東京のみんなの近況を聞く。

ちょっと前までは
彼女たちとどんどん離れていってしまう不安や、
埋められない距離や
同じクリエイティブな仕事を生業にする者としての
東京への羨望や、
今、此処の場所にいる理由もなくて
やみくもに彼らがくらりと眩しい感じが
していたけれど

今は
自分が迷いながら選んできた選択に
後悔はない。
そう、まっすぐな気持ちで思える。

クリエイティブな仕事としての
チャンスは捨ててきたかもしれないけれど
必要な時期がきたら
自然と接点が生まれる筈だから。

関係ないけれど
今月の「リンカラン」を読んでいたら
(すぐに「リランカン」と言ってしまうのは私だけ?)

「ホメオパス」
「ホメオパシー」

というものを熱く語っている人たちの記事を読んで
(文脈からすると先月号でこの特集だったのかもしれない)
何度読み返しても
気持ち悪いほど、新興宗教のひとたちみたいで
初めて読んだ人には、不安と気持ちの悪さを抱く文章なので
編集者的にこれはどうなんだろう。

「ホメオパス」って今、すごく流行っていて
もはや説明すらしなくていいのもなのか?
「ロハス」「デトックス」みたいなもの?

だって、説明文が

「銀河系に涙を一滴垂らした」と例えられるほどまでに希釈した「レメディー」を出してくれる存在、それがホメオパスです。

の一文のみ。

これでは
手から「ビブーティー」といふ空中から物質化したさらさらの白い粉や金の時計をだしてくれるアフロヘアーの存在、それがサイババです。

ぐらいの
激しい不安におそわれる。

雑誌において
作り手側が完全に客観的な視点を失った
共通認識への依存しすぎる文章って
専門誌でないかぎり気持ち悪い。
ライターさんも編集者も
あえてこのくらい気持ち悪さを演出し、
逆に興味を抱かせようという意図なのかと
思ってしまうが
どうなんだろう。
他の記事が、かなり大衆ににじり寄ってるだけに
さわやかなデザインで一見、お洒落で
軽やかなレイアウトにみえるここだけが

見たことのない
気持ちの悪い光に満ちているようにみえる。

さて、
気持ちが悪いあなたは
間違いなく、
「ホメオパス」
ググりましたね(笑)

でも、

「銀河系に涙を一滴垂らした」

という言葉の感触はいい。
とても。
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by 1egg2min | 2006-02-18 04:51 | BOOKS

長島有里枝 「NOT SIX」

思わず、息が止まった。
ノドがカラカラになる。

徒歩1分のヴィレヴァン(ヴィレッジヴァンガード:通称ヴィレバン)で
立ち読みしながら
思わず、息が止まる。
一回、本を閉じて深呼吸するも、
目が離せなくてもう一度ページをめくる。

そこには彼がいた。
わたしたちがまだ仲良しだった頃の
そんな彼だ。

世界に3人似ているひとがいるというが
本当に
本当によく似ている。
表情も、たたずまいも、体つきも、朝の寝癖も、
眼鏡も、寝顔も、
すべてが
本当によく似ているのだ。
とても
とても
よく似ている。

長島有里枝 「NOT SIX」

写真家である彼女の旦那さんが
「彼に似ているな〜」と
前の写真集でみかけてから
なんとなく、ずっと思っていた。

今回の写真集はその旦那さんだけを
とり続けた彼女の視線であり、
生活であり、愛である。
哀しさであり、せつない気持ちであり、
慈しみであり、想い出である。
わたしが望んでも
手に入れられなかった
彼らのいとしい日常。

欲しくてしかたがなかったけれど、
彼のことはもう過去の日の出来事として
処理しなければ
わたしはこの3年のまま
壊れっぱなしになってしまうので
ここは建設的な行動をしなきゃ
「しなきゃ」と
そっと本を置き、
そそくさと部屋に帰る。

テレビは愛知万博開幕を告げ、
春なのに小雪が舞い、
オレンジの夕日が
グレーの厚い雲を
不思議な色に変える。
風が
とてもつよい。

部屋に帰っても
やっぱり
あの本が
気になってしかたがないので

夕方のお散歩ついでに
買いにでかける。
花粉症が本当にひどくて
まつげが目に入ってしまうので
明日は
まつげパーマをかけにいこう。

最近、12年来の親友が結婚をして
新婚旅行にドイツへ旅立った。
殊に、結婚ラッシュがピークに達しようとしている。

仕事とは、結婚とは、家族とは、愛とは、未来とは

と世の中はどんどん質問をなげかけてくる。
そんな年齢になってしまったらしい。
花粉症で
鼻をかみすぎ、
目が腫れて
薬でぼんやりしてて
世界がぼぅ〜としている。
だけどやるべきことは山積みで
逃げても逃げても追いかけてくる。

結婚した親友は
「あとやり残したことは子供を産むことだけ」と
きっぱり言った。
「やり残したこと」なんて
あまりにも多すぎて
もう時間が足りなくなってきたよ。

人間のメスは大変だ。
風当たりも強い。

風が
今日も
いつのまにか
よるをつれてきた。
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by 1egg2min | 2005-03-25 18:03 | BOOKS

帰ってから歌いたくなってもいいようにと思ったのだ。

ハナレグミの新譜がでた。

タイトルを聞いた時
「つながった」
とおもった。

私がとても大事に想っている
高山なおみさんの本
「帰ってからお腹がすいてもいいようにと思ったのだ」

へと必ずつながる。と

わたしが
敬愛する料理の人と
すきな歌うたいの永積さんが
同じ本を読んで
たぶん本という
同じ空気と映像の中で
大事に想ったこと。
それが
「本」でつながったこと。

こうやって
いとしいモノが
わっかになる。
それは
うれしい。

世界中に砂みたいに
たくさんの人間がいても

例えば

季節の匂いを感じたり
時間のことを思ったり、
宇宙のことを話したり、
苦しい気持ちを
半分そっと持ってくれたり
動物の体温が
とてもあったかいことだったり、
芝生の肌触りだったり、
ジャンクフードの美味しさだったり、
一緒に流してくれた涙だったり、
光だったり、
ちいさな音だったり
キラキラだったり
好きなおでこの匂いだったり、

そんな
言葉ではすくいきれない
空気に混じり合う
かすかな
感受性を
共有できるひとは
哀しいかな
とても
わずかなひと。

新しい部屋は
82才の管理人のおじいちゃんみたいに
おじいちゃんビルで
いろんなところが壊れているけれど
まどがおっきくて
日がいっぱい当たって
特に
日曜日の夕方と
朝の時間は
とても
美しい。

上も下もひとが住んでないから
大音量で
「男の子と女の子」。

仕事をしすぎて
いっぱいいっぱいになって
無理をして
余裕もなくて
ついに、先週、ふらふらバタンと倒れた。

「う〜う〜」って
熱を出して苦しんでる私に
お友達が
ハナレグミのチケットを
とってくれた。
5月のツアー
たのしみだ。

僕のやさしさもだんだん齢をとる。

というフレーズが
とてもすき。
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by 1egg2min | 2005-02-06 16:35 | BOOKS

ちっちゃくて可愛くておっぱいのでかかった女の子。

自分を形容してください。

箇条書きで。
客観的事実だけを。
主観のみで。

A.フリーのデザイナー
B.イラストレーター 
C.ベトナム料理屋のキッチン
D.派遣会社のデザイナーのA子さん
E.夜の蝶
D.27歳
F.女
G.双子
H.独身

まるで万華鏡のように
複数の場所に
複数の役割をこなす自分がいて
まるで小学生の時間割みたいに
A-B-C-D-Eをこなしている。

もし、運悪く
殺されてバラバラにされてしまったら
岡崎京子の「チワワちゃん」みたく
なってしまうなと
我ながら危惧している。

きっと
「チワワちゃんと一緒に働いていたベトナム料理屋のバイト君の話」とか
「チワワちゃんが働いていた夜のマスターの話」とか
「チワワちゃんが派遣されていたデザイン事務所の話」とか
「チワワちゃんと昔つきあっていた恋人の話」とか
「チワワちゃんと仕事をしていた代理店の社員の話」とか
「チワワちゃんの学生時代の友人の話」とか
ありとあらゆる人が私を語ったら

きっとチワワちゃんと同じになるだろう。

あそんだり
おしゃべりしたり
なやみをうちあけたり
バカ話したり
キスしたり
セックスしたり
恋したり
憎んだりした人もしたけれど

「本当はチワワちゃんのことを何も知らなかった。」
そして
「きっとチワワちゃんも自分がなんなのかきっとよくわからなかったと思う。」
という岡崎京子的な結論へ向かうだろう。

今日、ひさしぶりに寝坊して
夢を見た。

知らない外国人と、知らない男のひとがでてきて
私をギュッと抱きしめると
「これからはもう大丈夫だよ」と言った。
(一体、何が大丈夫なんだ......?)
その人たちは知らない人だったけれど
体温があったかくて
目をつぶって
胸に耳をつけて
心臓の音を聞いて
男のひとは温かいなぁと
久しぶりに優しい気持ちになって
ゴツゴツした腕の感触って愛しいなぁと
思っていたら
目が覚めた。

そこは、肌寒くなったリアルな秋。
そして、ぽつん。
嗚呼、さびしいぜ。

しかし、
チワワちゃんみたく
夜中の三時に
チワワちゃんの沈んだ海に
ワインと花を持って来てくれる仲間が
果たしているだろうか...。

私の場合、ワインと花ではなくて
加ト吉の讃岐うどんと甘いスイーツ!
って
絵的にどうなのよ。
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by 1egg2min | 2004-10-04 11:46 | BOOKS

あなたのいない世界でずっとあなたが来るのを待っていたんだよ。

うっかり
セカチューこと世界の中心で愛を叫ぶの最終回を観てしまった。

あの本を手に取ったのは
ブームになるずっとずっと前。
本屋の片隅に置かれたあの本をなんとなく買った。
まだ、柴咲コウの帯もついていなかったような気がする。

家族の重大な問題を抱えていて
大切だった恋人にも逃げられ
のちに、
終わらない夜の中にいってしまった
弟にあげることになって
私にとっては苦い苦い想い出の本。
こんなにブームになる本だと思わなかったけど。
わたしたち家族にとって意味を持つ本。
東京まで何度も通った
雨の中野のあの道を思い出す。
悔しくて
情けなくて
しゃがんで泣いていた階段も。

夕方、お昼寝をして起きたら泣いていた。
いつものことだ(笑)
ぼんやりした誰か男の人にしがみついて
なきじゃくって目が覚めた。

大切な人を失って、けれど彼は生きていて、
笑ったり、恋をしたりしているのだろう。
ずっとずっともう2年半もたつのに
泣いて目が覚める。
悲恋は死をもって物語へと美しく転化されるけれど、
生きているのはとてもリアルで残酷だ。

この前、大好きだったあの人が夢にでてきた。
何にもなくまだ、仲良しだった頃みたいな無邪気な顔をして
寝ころがっていた私の上にふざけて乗ってキスをした。
「ひとりにしてごめんね」と屈託なく笑った。

笑ったまま幸福な気持ちで目が覚めて、
朝なのに
思わず泣いてしまった。
彼の重さや、手や髪の感触や、吐く息や、匂いが
あんまりにも生々しく優しかったから。

でも、
もう本当は思い出せないの。
彼の重さも、手や髪の感触も、吐く息も、匂いも。

ただ、
願っても、
大事に大事にしても
頑張っても
決して
手に入らないものが
この世界にはあることを知った。
それは私の人生にとって
最大の出来事。

痛い。
痛い。


心が潰れるような痛み。

その痛みを乗り越える時、
きっと前よりううんと
次に出会う大切なひとに
優しくできると
思いながら
3回目の彼のいない秋が
やってきてしまった。
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by 1egg2min | 2004-09-10 23:42 | BOOKS